3月9日のこと
2階から3階へ続く階段の先に見える青空。季節が少しずつ動いて 切り取る空の色が変化している。
父の手術だった。6時前には自宅を出て入院先の病院へ向かった。父はベットの上にちょこんと座りマッサンを見ていた。窓際のベットからは先生や看護師さんたちが制服のまま出勤してくる姿が見える。「ときどき 忘れ物して帰っていくんだ」と笑う。何を話していいかわからずいつもと変わらない話ばかりしていた。
点滴をごろごろと自分で押しながら歩いて手術室へ入って行った。どうしてか涙がでた。
大きな手術だったから家族控室を用意してくれて母とふたり待った。
ただ待っていることしかできないから 母といろんな話をした。
田舎から出てきてから勤めたという乾物屋さんでのこと、父と母の馴れ初め、気難しかったというおじいちゃんのこと、子供の頃に作ってくれた水ようかんのレシピ、長女のこと、次女のこと。
はじめて聞く話ばかりだった。話しながらも今手術しているんだな、でも何も出来ないんだと何度も思った。
予定より少し早く手術は終わった。先生の話のあと父に会った。「俺は 不死身だ」かすれた息みたいな声で父は強がって涙をつーと流し笑っているような表情で目をつむった。
いろんな感情を持った一日だった。家に着くと疲れがいっきにでたようで動けなくなった。緊張していたのかもしれない。次女の介助のために会社を休んだ夫が 夕飯に焼きそばを作ってくれた。ありがたかった。
野菜がもりもり食べたくていつもより野菜が多い昨夜の晩ごはん。・まぐろの山芋千切りのっけ・大根とはんぺん煮(ストーブにのっけてことこと煮た)・鶏肉とレンコンと白滝の照り煮(ちぢみ菜)・新じゃがのサラダ(キュウリ、セロリ、ハム、トマト)
容態にもよるけど今週中には病棟に戻れるかもしれない。
by otonariya
| 2015-03-11 17:42
| ・家人
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